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2026年最低賃金はいくらに?|都道府県別一覧と改定スケジュール

2026年9月3日、厚生労働省より令和8年度(2026年度)の地域別最低賃金について、全47都道府県すべての答申額が出そろったことが公表されました。全国加重平均は1,177円(前年比+56円)となり、上げ幅としては目安制度が始まった昭和53年度以降で2番目の高さとなっています。

本記事では、そもそも最低賃金がどう決まる制度なのか、なぜ毎年上がり続けているのかという基本のおさらいに加え、都道府県別の一覧、そして最低賃金割れを放置した場合のリスクまで、企業の人事・採用担当者が押さえておきたいポイントをまとめました。

目次[非表示]

  1. 令和8年度 最低賃金改定の結論
  2. 【全国】都道府県別 最低賃金2026一覧(答申結果)
  3. 改定はいつから?発効スケジュールの流れ
  4. そもそも最低賃金はどうやって決まる?
  5. なぜ最低賃金は上がり続けているのか?企業が押さえるべき制度背景
  6. 最低賃金割れを放置すると何が起こる?
  7. 時給を上げた"その後"に起きること。見落としがちな3つの視点
  8. 9月〜11月、今から確認すべきこと
  9. まとめ

令和8年度 最低賃金改定の結論

厚生労働省が公表した答申結果のポイントは以下の3点です。

  • 47都道府県すべてで54円〜65円の引き上げ
  • 全国加重平均額は1,177円(前年度1,121円、+56円)
  • 最高額(東京都1,280円)に対する最低額(宮崎県1,085円)の比率は“84.8%”となり、12年連続で改善

引き上げ幅が最も大きかったのは佐賀県の65円、次いで鹿児島県64円、高知県・沖縄県63円と、地方圏で目安を上回る積極的な引き上げが目立つ結果となりました。一方、東京都・神奈川県・大阪府は54円の引き上げにとどまっており、都市部と地方の水準差が縮小する傾向が続いています。

※本記事の金額はすべて「地方最低賃金審議会による答申額」であり、この後の異議申出等の手続きを経て、都道府県労働局長が正式な決定額・発効日を確定します。

参照元:全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました|厚生労働省|

【全国】都道府県別 最低賃金2026一覧(答申結果)

令和8年度の地域別最低賃金の答申結果を、
改定前の金額・引き上げ額・発効予定日とあわせて一覧にまとめました(2026年9月3日答申結果反映)。

都道府県

改定前

改定後(答申)

引上げ額

発効予定日

北海道

1,075円

1,131円

56円

10月1日

青森

1,029円

1,090円

61円

10月29日

岩手

1,031円

1,090円

59円

12月1日

宮城

1,038円

1,098円

60円

10月1日

秋田

1,031円

1,090円

59円

10月14日

山形

1,032円

1,092円

60円

10月30日

福島

1,033円

1,094円

61円

10月16日

茨城

1,074円

1,136円

62円

10月18日

栃木

1,068円

1,125円

57円

10月1日

群馬

1,063円

1,120円

57円

10月3日

埼玉

1,141円

1,196円

55円

10月1日

千葉

1,140円

1,195円

55円

10月1日

東京

1,226円

1,280円

54円

10月1日

神奈川

1,225円

1,279円

54円

10月1日

新潟

1,050円

1,108円

58円

10月1日

富山

1,062円

1,119円

57円

10月1日

石川

1,054円

1,113円

59円

10月3日

福井

1,053円

1,112円

59円

10月4日

山梨

1,052円

1,113円

61円

11月1日

長野

1,061円

1,117円

56円

10月2日

岐阜

1,065円

1,121円

56円

10月1日

静岡

1,097円

1,154円

57円

10月15日

愛知

1,140円

1,195円

55円

10月1日

三重

1,087円

1,143円

56円

10月1日

滋賀

1,080円

1,136円

56円

10月3日

京都

1,122円

1,180円

58円

11月16日

大阪

1,177円

1,231円

54円

10月1日

兵庫

1,116円

1,172円

56円

10月1日

奈良

1,051円

1,107円

56円

10月4日

和歌山

1,045円

1,101円

56円

10月3日

鳥取

1,030円

1,090円

60円

10月3日

島根

1,033円

1,092円

59円

10月10日

岡山

1,047円

1,104円

57円

10月2日

広島

1,085円

1,141円

56円

10月11日

山口

1,043円

1,101円

58円

10月8日

徳島

1,046円

1,103円

57円

11月1日

香川

1,036円

1,092円

56円

10月1日

愛媛

1,033円

1,093円

60円

11月1日

高知

1,023円

1,086円

63円

10月29日

福岡

1,057円

1,114円

57円

10月4日

佐賀

1,030円

1,095円

65円

11月15日

長崎

1,031円

1,087円

56円

11月2日

熊本

1,034円

1,092円

58円

12月1日

大分

1,035円

1,096円

61円

11月1日

宮崎

1,023円

1,085円

62円

10月24日

鹿児島

1,026円

1,090円

64円

10月25日

沖縄

1,023円

1,086円

63円

12月2日

全国加重平均

1,121円

1,177円

56円

-

※上記は2026年9月3日時点の答申額です。今後の異議申出手続き等により、金額・発効日が変更となる可能性があります。最新の確定情報は厚生労働省・各都道府県労働局のサイトでご確認ください。

参照元:令和8年度地域別最低賃金額答申状況|厚生労働省

改定はいつから?発効スケジュールの流れ

最低賃金の改定は例年「10月1日」を基準日としていますが、全国一斉ではなく都道府県ごとに発効日が異なります。今回の答申結果でも、10月1日発効の地域がある一方、京都府(11月16日)や岩手県・熊本県(12月1日)、沖縄県(12月2日)など、10月を大きく超えて発効する地域も見られます。

複数拠点で採用・雇用を行っている企業にとっては、「地域によって新時給の適用タイミングがずれる」ことが給与計算・求人原稿更新の実務上の落とし穴になりやすいため、自社拠点の発効日を個別に確認しておくことが重要です。

大まかな流れは次の通りです。

  • 6〜7月頃:中央最低賃金審議会が調査審議を行い「目安額」を答申
  • 7〜8月頃:地方最低賃金審議会が調査審議を行い「改定額」を答申
  • 8〜9月頃:都道府県労働局長が改定額を決定・公示(※今回はここまで完了)
  • 10月以降:都道府県ごとに新しい最低賃金が順次発効

参照元:地域別最低賃金の改定|厚生労働省

そもそも最低賃金はどうやって決まる?

まずは制度の基本を整理しておきましょう。

最低賃金制度とは

最低賃金制度は、最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定め、使用者(企業)はその金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。正社員に限らず、パート・アルバイト・契約社員など、すべての労働者が対象になります。労使が合意していたとしても、最低賃金を下回る時給で雇用することはできません。

最低賃金には、都道府県ごとに定められる「地域別最低賃金」と、特定の産業に適用される「特定最低賃金(産業別最低賃金)」の2種類があります。両方が適用される労働者については、金額の高い方が優先されます。特定最低賃金は、地域別最低賃金よりも高い水準が必要と認められた産業に設定されるものですが、近年の地域別最低賃金の大幅な引き上げにより、実際には特定最低賃金を地域別最低賃金が上回るケースも多くなっています。

決まるまでの3ステップ

地域別最低賃金は、毎年おおむね次の流れで決定されます。

  1. 中央最低賃金審議会(厚生労働大臣の諮問機関)が調査・審議し、7月頃に「引き上げ目安」を提示
  2. 各都道府県の地方最低賃金審議会が、地域の実情を踏まえて調査・審議し、「改定額」を答申(8〜9月頃)
  3. 都道府県労働局長が、異議申出等の手続きを経て改定額と発効日を正式に決定・公示(10月以降)

今回、令和8年度についてはこの2番目までが完了し、全都道府県で答申額が出そろった段階です。今後、正式な決定・公示を経て、10月以降に順次発効します。

「最低賃金の対象になる賃金」には除外項目がある

最低賃金の判定に使えるのは、基本給や一部の手当のみで、以下のような賃金は計算の対象から除外されます。

  • 残業代(時間外・休日・深夜手当)
  • 精皆勤手当・通勤手当・家族手当
  • 賞与など、1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
  • 結婚手当など、臨時に支払われる賃金

月給制・日給制の従業員についても、以下の計算式で時給換算した金額が、地域の最低賃金を上回っている必要があります。

  • 日給制:日給額 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金額
  • 月給制:(月給額-除外賃金)÷ 1ヶ月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額

「基本給は最低賃金より十分高いから大丈夫」と考えていても、手当の組み方によっては対象額が最低賃金を下回ることがあるため、正社員を含めた全従業員での確認が必要です。

参照元:最低賃金制度の仕組みと2026年度の動向|エスタイム社会保険労務士法人

なぜ最低賃金は上がり続けているのか?企業が押さえるべき制度背景

最低賃金の引き上げは単なる景気動向によるものではなく、政府が掲げる賃上げ政策や地域間格差是正などの方針を背景に進められています。今後の人件費計画や採用戦略を考えるうえでも、その背景を理解しておくことが重要です。

全国加重平均の推移

厚生労働省の実績値をもとにした全国加重平均の推移は以下の通りです。

2020年度はコロナ禍の影響でほぼ横ばいだったものの、それ以降は毎年3〜6%台という高い上昇率が続いています。

政府目標「全国加重平均1,500円」

この引き上げの背景には、政府が掲げる「全国加重平均1,500円」という目標があります。当初は「2020年代のうちに」とされていた達成時期でしたが、2026年7月の骨太方針閣議決定により、「遅くとも2030年代前半のできるだけ早期に」と、ややペースを緩める形で見直されました。とはいえ、目標水準そのものが下がったわけではなく、今後も高水準の引き上げが続く可能性が高いと見られています。

物価高・人手不足・地域間格差の是正

引き上げの理由としては、主に次の3つが挙げられます。

  • 物価上昇への対応:物価高が続く中、労働者の生活を守るための引き上げ圧力
  • 深刻な人手不足:多くの業種で人手不足が続き、賃金を上げてでも人材を確保したい企業側の動きとも連動
  • 地域間格差の是正:最高額(東京都)に対する最低額(宮崎県)の比率は84.8%まで改善し、12年連続で縮小傾向。都市部(Aランク:54円)よりも地方部(B・Cランク:56円)の引き上げ目安を高く設定することで、地方からの人口流出防止も意識されています

なお、令和8年度の審議では、労働者側から前年度(63円)を上回る「75円」の引き上げ要望が出た一方、経営者側は負担の大きさから慎重な意見を示すなど、労使間でぎりぎりまで調整が続けられた経緯もあります。最終的に全国加重平均55円の引き上げ目安で決着し、各地方審議会での上乗せもあって、結果として56円・1,177円という着地になりました。

参照元:〇 最低賃金制度の仕組みと2026年度の動向|エスタイム社会保険労務士法人
2026年最低賃金改定 対応ガイド(社内資料・厚生労働省データより作成)

最低賃金割れを放置すると何が起こる?

最低賃金改定への対応は毎年発生する業務ですが、近年は引き上げ幅の拡大に伴い、企業への影響も大きくなっています。最低賃金の確認だけでなく、求人条件や人件費、社内の賃金バランスなども含めて対応を検討する必要があります。ここでは、企業が押さえておきたい主なリスクを整理します。

罰則・遡及払いの義務

地域別最低賃金を下回る賃金で雇用していた場合、最低賃金法により50万円以下の罰金が科される可能性があります(特定最低賃金を下回った場合は、労働基準法により30万円以下の罰金)。

また、たとえ本人が同意して雇用契約を結んでいたとしても、最低賃金を1円でも下回る部分の定めは法律上「無効」とみなされ、無効となった部分は最低賃金と同額を支払う約束をしたものとして扱われます。つまり、発効日以降にさかのぼって、不足分を支払う義務が生じます。試用期間中・研修期間中であることを理由に低い時給を設定することも認められていません。

求人媒体での掲載停止・アカウント停止リスク

主要な求人サイトや求人メディアは、労働基準法・最低賃金法などの法令遵守を掲載ポリシーに定めています。最低賃金を下回る求人原稿を掲載し続けていた場合、自動検知や審査によって「広告の掲載停止」や「企業アカウントの凍結」といった措置を受ける可能性があります。特に、9月中旬から求人広告を出稿し10月の発効日をまたぐようなケース(掲載開始時点ではクリアしていても、発効日を境に最低賃金割れになるケース)は見落としやすいため注意が必要です。

社会的信用の失墜

現代の採用市場では、求職者が企業の法令遵守姿勢を厳しくチェックしています。最低賃金割れの求人がSNS等で拡散され、労働基準監督署や求人メディアへ通報される可能性もあります。一度「法令を守っていない企業」というイメージがネット上に広がってしまうと、採用活動の停滞にとどまらず、既存の取引先や顧客からの信用にも影響しかねません。

最低賃金改定への対応では、「最低賃金を上回っているか」の確認に加え、求人原稿の更新状況や人件費への影響も含めて点検しておくことが重要です。発効日が近づく前に、自社の雇用条件や募集条件をあらためて確認しておきましょう。

参照元:【2026年度】最低賃金は全国加重平均1,177円へ|企業が発効前・発効後に行うべき対応|株式会社内藤一水社

時給を上げた"その後"に起きること。見落としがちな3つの視点


最低賃金への対応は、時給を引き上げた瞬間に終わりではありません。むしろ、引き上げ後に新たな課題が生じやすい点が、今回の改定で注意したいポイントです。

① パートの時給を上げたら、中堅社員が不満を持ち始めた
パート・アルバイトの時給を最低賃金に合わせて引き上げると、正社員や勤続年数の長いスタッフとの時給差が自動的に縮まります。例えば、パート時給が1,230円→1,280円に上がった場合、正社員1,330円との差は100円から50円に圧縮されます。「なぜ自分の給料は上がらないのに、パートと差が縮まるの?」——この不満が積み重なると、中堅層の離職につながることも。パートだけでなく、周辺層の給与バランスまでセットで見直すことが重要です。

② 「総支給額」でクリアしているつもりが、実は違反していた
最低賃金の判定は「総支給額」ではなく、残業代・休日手当・深夜手当・通勤手当・家族手当・賞与・精皆勤手当などを除いた金額で行います。総支給額では余裕があるように見えても、計算対象額に絞ると下回っていた——というケースが実際に起きています。「うちは大丈夫」と思っている会社ほど、一度専門家(社会保険労務士など)に確認しておくことをおすすめします。

③ 「で、いくら増えるの?」に答えられない
時給を引き上げた後、必ず経営層から飛んでくるのがこの質問です。時給差×人数で出した数字を持っていくと、「社会保険料は?残業代は?賞与への影響は?」と突っ込まれ、答えられなくなるパターンは少なくありません。対応範囲を「最低賃金割れの層だけ」にするか「下位数階層まで波及させる」かで、年間影響額は数倍変わることもあります。数字は早めに、広めに試算しておくのが得策です。

9月〜11月、今から確認すべきこと

答申結果が出そろった今、企業側で優先して着手したいことを整理しました。

  • 改定後の最低賃金を下回る従業員がいないか、拠点ごとに確認する
  • 求人票の時給が、現行のまま据え置きになっていないか確認する
  • 自社拠点の発効予定日を確認し、募集期間が発効日をまたぐ求人原稿がないかチェックする
  • 影響額(社会保険料・残業代込み)を概算し、経営層への報告準備を進める
  • パート・アルバイトと正社員の時給差が圧縮されていないか確認する

特に、9月中旬から求人広告を出稿し10月の発効日をまたぐケースでは、掲載開始時点ではクリアしていた時給表記が、発効日を境に「最低賃金割れ」になってしまうリスクがあります。自社が募集をかけているエリアの発効日を早めに把握し、原稿の給与表記を前倒しで更新しておくことが望ましいでしょう。

まとめ

令和8年度の最低賃金は、全国加重平均1,177円(+56円)で答申が確定しました。今後は都道府県労働局長による正式決定・公示を経て、10月以降、地域ごとに順次発効されます。

最低賃金改定への対応では、改定後の最低賃金を上回っているかの確認はもちろん、求人原稿の更新、既存従業員との賃金バランス、人件費への影響把握まで含めて対応を進めることが重要です。特に近年は引き上げ幅が大きくなっていることから、自社の雇用条件や採用活動への影響もあわせて確認しておくことをおすすめします。

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