業種別離職防止事例:人材業
どの業界も人手不足と言われているなか、社員の離職は会社にとって大きな損害です。特に人材業での離職はほかの業種より深刻なものとなっており、対策について考えている方は多いのではないでしょうか。
今回は人材業の離職の現状や離職防止の取り組みなどをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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人材業の離職。現状と理由
人材業はやりがいがあり人気の職種ですが、離職率が高いのが現状です。特徴として新卒入社の社員が3年以内で早期離職するケースが多いことが挙げられます。人材業が含まれるサービス業界は新卒に限ると離職率は25.7パーセント以上という数値が見られ、人材業の離職率の高さには大きく2つの理由が影響しています。
- 理想と現実のギャップが大きい
- 他業種に比べて労働環境がよくない
人材業で早期離職をする理由の多くをこの2つが占めています。
人材紹介先の新規開拓営業など裏方のような仕事と、入社前のコンサルティングのようなイメージとのギャップや不適合、不規則な業務時間、多い業務量などは、身体的な疲労だけでなく、心への負担も大きいため、離職への大きな動機となってしまいます。
人材業の離職防止への取り組み例
離職リスク可視化ツールの導入
人材業の離職対策の取り組みのひとつとして、社員の離職リスク可視化ツールというものがあります。このツールは、離職する兆候のひとつである心的状況の変化をスマートフォンアプリでデータとして集積するものです。
社員がアプリでその日一日の気分をお天気マークやスタンプで表現すると、アプリがこれらをデータ化し、離職の兆候があると考えられる場合は上司や担当者に対してアラートをだし、面談を促すといった機能があります。
この取り組みは、普段スマートフォンを操作する機会の多い若者の離職防止に非常に効果が高いとされています。若手社員にとってはスマートフォンのアプリのほうが直接伝えることができメールでの相談よりもハードルが低いこと、なおかつ上司にとっても時間を効率的に使えることなどがメリットです。
コストはかかりますが、業務の負担が少なく社員の現状を把握しやすいため、こういった取り組みを行う企業が増加しています。
インセンティブ制度の導入
続いて、人材業に従事する社員のモチベーションアップに効果が期待できるインセンティブ制度をご紹介します。
インセンティブとは、企業が持続的に成長していくために、社員のモチベーションを引き出す施策、動機づけのことです。日本では、営業目標やノルマの達成で支給される奨励金を指す言葉として使われることも多いですが、お金以外でも、モチベーションとなるものはすべてインセンティブと呼ばれます。
実際では、ポイント制度を導入した例があります。土日祝の出勤やスキルアップでポイントが付与され、そのポイントが一定以上たまると商品と交換できるというものです。このポイントはそれぞれの社員の頑張りが数字として可視化されるうえに、実際の商品とつながることで手近な目標として機能します。
その結果、社員のモチベーションにつながるのです。
ほかにも、社内報にお客様のお褒めの言葉を公表し、自分のさまざまな頑張りを社内にも承認される機会を創出した例もあります。企業ではどうしても結果に目がいってしまうため、数字になりやすい部署しか注目されませんが、本来は社員一人ひとりがそれぞれの仕事に対して頑張っています。
数字にしづらい細かい部分を評価できるシステムがあると、どの部署にいる社員でもモチベーションを保ちやすくなるでしょう。
ユニークな制度で有給休暇取得を促進
有給休暇として、社員の誕生日当日や誕生月に休暇を取ることができる誕生日休暇や家族の行事のときに休めるファミリー休暇などユニークな制度を導入している企業があります。
こういった制度があると、たとえ繁忙期でも社員は同僚の目や上司の評価を気にすることなく取りたいときに有給休暇を取得できます。企業としても、社員を大切にする企業として企業イメージをブランディングすることができるでしょう。
ワークライフバランスを支える福利厚生
ビジネススーツを安く購入できたり、映画館やレジャー施設の利用料が割引されたりするなど、社員のワークライフバランスを考えた取り組みは、企業への満足度が上がることにつながります。業務上だけのものではなく、休日の生活も考えたサービスであることがポイントです。
フレックス制の導入
現在はリアルタイムのITサービスが普及し、多様な働き方が受け入れられる時代です。
多くの企業で実践されているものがフレックス制です。そのほか、テレワークなどの在宅勤務も挙げられます。社員にとって自分のライフスタイルに合わせて仕事ができることは非常に魅力的です。
ストレスチェック
最後に、従業員のストレスチェックと、管理職との意見交換制度をご紹介します。
早期離職にも1年以上勤続している社員の離職にも共通することは、人間関係の悩みです。人間関係の悩みを上司に話さないまま黙って離職してしまうケースがよくあります。退職願が提出されるまで何も気付かなかった、という経験も少なくないでしょう。
そのため、自発的に社員が相談してくることを待つのではなく、ストレスチェックテストの実施や定期的な面談などで、状態を常に把握できる制度が必要です。現在では50人以上の従業員が在籍する企業ではストレスチェックテストは義務となっています。
(参照:厚生労働省│ストレスチェック制度)
また、全体的な雰囲気の改善にも取り組む必要があります。具体例としては、社員同士がお互いへの感謝の気持ちを伝える制度や、社員が幹部に対して率直な意見を言える仕組みなどが挙げられます。
社員同士の関係がよいと協力したり悩みを話したりしやすく、業務を円滑に進めることにつながるため離職防止に効果が期待できます。
まとめ
いかがでしたか。この記事では、企業や社員だけでなく業種そのものが抱える問題を分析し、さまざまな事例をご紹介しました。
導入コストが小さい対策もありますので、今できることから始めて大切な財産である社員を定着させ、業務の質を高めていきましょう。